「わが母の記」を見た

「わが母の記」を見た。井上靖の私小説を役所広司主演で映画化したものだ。

間伸びする前半だったが、移動遊木の上で書いた詩を母親が誦じたあたりから俄然話が面白くなる。
面白いのだが、一方で母をしっかりと見とる話はGunオヤジにはキツイ。

Gunオヤジのオヤジは既に痴呆が始まりかけているが、母親どころかボケ始めたそのオヤジすらGunオヤジは見とることができないかもしれない。
順番が前後して、かなり申し訳ない気がする。

劇中では樹木希林さんが実に良い表情をする。セリフのないシーンでも表情だけで訴えかけるものがある。役所広司さん演じる息子に海辺で背負われている時に見せる表情など子猫が眠っているような可愛さだ。
もちろん役所広司さんも自然な演技がもち味の素晴らしい俳優だが、一つの映画の中で並べてみると希林さんの表情の方が深く訴えかけるものがあるように感じた。

Gunオヤジの立場としてはなかなかに辛いストーリーだが、胸を締め付けられるような良い映画だ。