高校生の時、友人から「けんかえれじいって本知ってる?姿三四郎みたいな話だけど」と言われたことがある。Gunオヤジは本好き、かつ武道好きだった。姿三四郎は好きな小説だったので、早速本屋で「けんかえれじい」を買って読み始めた。なにしろAmazonもKindleも無い時代の話だ。
姿三四郎とはまったく内容が違ったがGunオヤジは「けんかえれじい」を一発で好きになった。厚めの上下2巻だったが何度も読み返した。
体格に恵まれていたわけではない主人公の南部麒六、左の頬を打たれたら右の頬を出せと教えれらているクリスチャンなのだが、理不尽には「なんきしゃんな!」の気合一発徹底抗戦の姿勢をとる。幼少期から学生時代、軍隊時代と主人公の成長に合わせた喧嘩修行の半自伝小説。
負けることもあるけど真っ直ぐに生きる姿が実に清々しい。ただしタイトルに「えれじい(悲歌、哀歌)」とついているように、抗うことができない時代の暗さが背景に存在し続けているのも事実だ。
かつて鈴木清順監督、高橋秀樹主演で映画化され大ヒットしたこともあるが、原作の面白さには敵わない。
今でも角川文庫の初版本、新潮文庫の初版本を持っている。
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