万が一に備える

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ガン随筆

今朝、妻が病院に来た。担当医から直接病状や手術についての説明を受けるためだ。Gunオヤジは朝からシャワーを浴び、髭をそり、髪を整え、病院のパジャマではなく持ってきていた普段着で出迎えた。心配させないために少し演出している。

説明を聞き終え、病院からトボトボと帰る妻をエントランスで見送った。
手術当日となる明日は来なくていいと言ってある。他の患者さんのご家族が朝から晩まで談話室で待っているのを複数組み見たが、妻にあんな思いをさせたくないので自宅で待っていてくれと伝えた。
ふとこれが最後になるかもしれないという恐怖に襲われて、思わず玄関から出て、まだ遠くに見えた妻の後ろ姿に手を振っていた。

さて、先ほど右手首の静脈に点滴用の針を通した。この後数日間、麻酔や点滴などを注入するための口となる。そろそろ周辺が手術モードに切り替わり始めた。

明日は「胸腔鏡下胸腺摘出手術」を受ける。「きょう」の音が多くて練習しないと言えない名前だが、肺を止め人口呼吸器で左肺に酸素を送り、右肺と肋骨の間に空気を送り込んで右肺を潰して手術をするらしい。

危険は無いと言うが大変な手術だし、万が一も無くはない。急遽妻宛に手紙を書いた。要は遺言だ。
内容はお礼の言葉にはじまって、延命処置について、お葬式やお墓についての希望、残せる資産について。

当然無事手術が終わるだろうと考えて遺書を用意していなかったが、今少し後悔している。
情報が完璧に揃わない^^;
でも、今更言っても仕方ない。全く無いよりは少しは役立つだろう。

遺言を書いていて悲しくなかったかと言えば嘘になる。
そりゃあそうだろう。人生で最も長い時間を共に過ごした戦友だ。
妻への感謝で一杯になった。

君に出会えて良かった。ありがとう。
もしGunオヤジが先に逝ったら、必ず待っているから安心してほしい。
来るのはゆっくりで良いので、たくさんの土産話を持ってきてください。

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