人は死んだらどうなるか

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ガン随筆

死は怖いものなのか。死んだらどうなるのか。
Gunオヤジもガンになって死というものを現実感をもって考えるようになった。

最初に言うが、まず死を恐れる必要はない。なぜなら誰もが気持ち良く死んでいくからだ。
以前テレビで草食動物がライオンに噛み殺されるシーンを見たことがある。不思議なことに草食動物は全く苦しそうに見えなかった、むしろ幸福感に包まれているようにさえ見えた。「脳内麻薬が出ている」とナレーションがあって合点がいった。

恐らくそれは生き物に与えられた機能の一つなのだと思う。だから人間も死ぬ最後の時は幸福感に包まれて死んでいくはずだ。
もし脳内麻薬を出す機能が働く前に死んでしまったら辛いのか・・・いや、その心配はない。恐らく何かが出るから幸福感に包まれるのではなく、何かが足りなくなった状態に幸福感を感じる仕組みになっているはずだ。
だから例えどんなに辛い死に方であっても、最後は朦朧とした記憶の中で幸福感に包まれて死んでいくことができる。
だから恐れる必要はない。

では、自分が死んだ後はどうなるのか。

石原慎太郎(作家、元都知事)が「永遠の虚無が続く」という言い方をしていたが、それが正しいと思う。
私が死んだ後、友人の記憶から消え、家族の記憶からも消えていき、どんなに長くても数十年で誰の記憶からも私が生きた事実は消えていく。それでも時間は延々と流れていく。そして時間軸をもっと伸ばすと、地球上の人類が何らかの理由で絶滅し、もっともっと時間軸を伸ばすといずれは地球もなくなる。おそらくどこかのブラックホールが成長して地球を飲み込むからだ。でもそれでも時間は流れていく。
その頃から振り返れば人類の歴史なんて一瞬の出来事だろうし、その中の一人の人の人生などほとんどゼロみたいなもの。これを石原慎太郎は「永遠の虚無」と表現したのだと思われる。

人の死とは、辛いとか悲しいというより「絶望感」という感じだ。

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