「人生とは経験の合計である」という言葉に興味を惹かれた。
3回目のガンの手術を受けて自分の「死」というものをよく考えるようになった。
何のために生きているのか、何のために時間を費やすべきか、何もしなくても残り時間が減る焦燥感、自分が死んだ後はどうなるのか・・・。
特に自分が死んだ後のことに関しては、自分が死んでも結局時間は変わらずに淡々と進んでいくことが何となく分かった。
長い年月が過ぎて、太陽系が無くなっても、天の川銀河が無くなっても、宇宙には他に2兆個以上の銀河系があり、宇宙全体では何も変わらない。
ということは結局時間は一方通行にしか進まないし、終わりなんかない。その中で人間の魂だけがプールされて生まれ変わったり、死後の世界があると考える方が不自然だ。
結局、死後の世界やあの世は、生きている人間が発明したものに過ぎない。2度とその人と会えない寂しさ、2度と新しい体験をできない絶望感を考えると死後の世界や生まれ変わりがあった方がはるかに気が楽になる。
さてここは少しシニカルに人の一生は一回こっきりと考えると、より良く生きるべきだということがわかる。
そうした時に何が良くなくて、何が良いか、いつが良いかという基準を色々と示してくれる本が「DIE WITH ZERO」だった。
死ぬ間際になって価値があるものは思い出しかないと説く。その通りだと思う。
だとするならば思い出作りこそが、人の最も大事な仕事だと言う。
お金を貯めることにだけ人生を使い、貯めたお金を使えずに死ぬことは非効率だとも書いてある。
皆、いざという時のためにお金を貯めるが、いくら貯めたら良いかという基準が不明確だ。
不明確だからバランスを崩してまで貯め込みに力を注いでしまう。
そこの部分の適切なバランスを考える指標をくれるのがこの本の凄いところだ。
著者は米国人、投資ファンドのCEOなので国の補償制度が違ったり、資産感覚の違いはある。
だけど与えられた指標を参考に自分の人生をデザインすることはできる。
そういう意味ではとても価値ある一冊だと思った。
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