胸腺腫の手術は避けられないと告げられてから1週間が経つ。(参照:「サックス教室申し込み 」)
あまり冷静になれてないかもしれないが、それでも少しは落ち着いた頃だろう。ここで少し自分の病気のことを整理しておこう。
病名は胸腺腫。
一般的な胸腺腫の疑いでは、運が良ければただの嚢胞(水のかたまり)、運が悪ければ胸腺ガンということもある。
とは言え良性の胸腺腫だったとしても安心はできない。他の良性腫瘍と違い胸腺腫の場合、他の臓器へ浸潤しやすく、まれに転移するケースもあるという。ステージも設定されていて、はっきり言ってほぼガンだ。胸腺ガンはそのスピードがもっと速いというものらしい。
Gunオヤジは以前の食道ガン手術の関係で3年前からの定期的なCTの胴体輪切り画像が病院に保管されている。それと見比べ急激な進展がないので胸腺ガンではないだろう、という医者の見立てだ。
では嚢胞ではないのか。
先日とったMRIの画像で胸腺がまだら模様に映っていた。これは組織が単一組織ではないということだ。おそらく嚢胞の膜に腫瘍があるのではないかと言う。言い換えれば腫瘍の中に水が溜まっているとも言える。
そして単なる嚢胞だとしたら心臓の動きによってもっと扁平に映る時があるはずだと医者は言う。確かにどの輪切り画像を見てもさほど扁平にはなっていない。ある程度ブリっとした組織があることを示唆している。
そう考えると胸腺腫という見立ては可能性が高い。
胸腺腫は何を引き起こすのか。まずは圧迫による障害だそうだ。胸は胸骨(肋骨)に囲まれ、肺や心臓という風船のようなものがひしめき合っている。その中に余計な風船が膨れてくるため血管や心臓を圧迫するというのだ。
現時点でMRI画像を見ると、心臓と胸腺が押し合っているのが見える。安心材料としては、今のところ心臓の丸みの方が押し勝っているように見えることだ。
次に怖いのは浸潤だ。この圧迫が原因なのかはしらないが、胸腺腫は静脈組織や心臓の膜に浸潤しやすいらしい。これにより心臓や血管が機能低下を起こすとのこと。転移の危険もここからでてくるのだろうか。
Gunオヤジのステージを聞いてみた。「1か2だろう、3ではない」と言われた。他組織への浸潤が見られたらステージ3だが、明らかな浸潤は見られないという。1と2の違いも教えてもらったが「ミクロレベルの話なので目視では分からない」と言われた。
なので、0ではない3でもない。1か2という見立てになるらしい。
現時点で急速な成長は見られないものの、胸腺腫が少し大きくなり過ぎていることはリスクだ。
Gunオヤジの場合、サイズは縦2センチの横4センチ。前回3センチと言われたが違いは計り方の問題だ。選択する画像と測る向きによってかなり変わる。実際Gunオヤジの腫瘍も斜めを向いているので定規をどう当てるのが正解なのかよくわからない。
胸腺腫は小さいうちは様子見で良いという。どこから危険の境目かというと、目安は2センチだそうだ。Gunオヤジは短い方で2センチ、長い方で4センチ。いずれにしても既にオーバーしている。
ひと昔前までは胸腺の手術と言えば開胸しかなかったらしい。胸骨の真ん中をワイヤーノコギリで切って開くやり方で術後のダメージもものすごく大きいという。体験者の言葉ではダンプに惹かれたような衝撃が何ヶ月も続くという。でも今では胸腔鏡手術が増えてきている。胸の内視鏡手術のことだ。ダメージは遥かに小さい。
とはいえ、これとて説明を聞くとかなりグロい。胸に数カ所5センチほど切って肋骨の間から内視鏡を入れ、肺と胸骨の間を滑り込ませる。当然手術機材が肺や心臓に触れる。脈動する心臓に隣接する組織を切除するというものだ。
Gunオヤジの場合「境界に来ている」と言われた。どういうことかというと開胸手術にならずに済むギリギリのところという意味だ。胸腔鏡手術とは、段ボールの箱の中に大きな3つの風船がパンパンにひしめき合っていて、その間にある水風船をマジックハンドで小さな穴から取り出すような作業らしい。真ん中の水風船が小さいうちは難しくないが、あまり大きいと取り出しづらいというのだ。その目安が2センチだと。
引っかかったり、噛みつきが始まっていたら開胸手術に切り替えるしかないようだ。その場合、その場で判断するのか日を改めるのかまでは聞いていない。
胸の手術なので当然全身麻酔になるはずだが、麻酔をかける前に毎回必ず誓約書にサインを求められる。全身麻酔で100万人に7人が帰ってこなくなるからだ。たった100万人に7人というなかれ、胸腺腫は10万人に0.5人の発症率と言われている。これは言い換えれば100万人に5人となる。100万人に5人の胸腺腫になったのだから100万人に7人は十分高い確率といえる。
食道ガンの際にGunオヤジが無意識で起き上がったというのも不安材料だ。胸腺は脈動する心臓に隣接する臓器だ。術中に起き上がったら心臓や肺を傷つけかねない。
他にも胸腺がもともとリンパ系の組織なだけに、免疫暴走を併発することが少なくないという。具体的には「重症筋無力症」というもので、瞼が重くなったり嚥下障害を起こすそうだ。
言われてみればGunオヤジの瞼は歳とともにだいぶ下がってきた。いままで加齢のせいだけだと思って意識して表情筋を使ってきたが、もしかしたらこの可能性がないとは言えない。
今のところGunオヤジに自覚症状はないが、胸腺腫の自覚症状で痛みが出ることも意外とあるらしい。
胸腺腫自体が10万人に0.5人という希少ガンのため情報が少ないが、胸腺腫サバイバーのコミュニティを除いてみたところ、かなり症状が重い人もいるし、その人のステージもGunオヤジと同じだったりする。
最初に胸腺腫が見つかった時、担当医が「あなたの場合、肺ガンよりこちらが深刻」と言っていたが、その意味がわかった。
実はもう一つ気がかりなことがある。
Gunオヤジの胸腺腫は一言で言えば、現在激しい成長は見られないが、既に危険なぐらいに大きくなっている。
Gunオヤジは藁にも縋るおもいで「高濃度ビタミンC」の静脈点滴を1年半ほどおこなってきた。これが効いて肺も食道も胸腺もガンが動きが止まっているのではないかとも思われるのだ。
動きが止まっていることは嬉しいが、胸腺腫と胸腺ガンの一番の違いがスピードだとしたら、胸腺ガンの疑いも否定はできなくなってくる。
胸腺ガンなんて希少中の希少らしいが、胸腺腫だって10万人に0.5人の希少ガンだ。それに当選したのだから胸腺ガンであってもおかしくはない。
まあこれは手術をして細胞検査をすればわかることだろう。
高濃度ビタミンCの治療は昨年の3月から通算23回。保険が効かないので一回22,000円。50万円以上の投資は痛いが、それでガンの進行が止まるのならありかもしれない。
情報を整理すると、色々な疑問が湧いてくる。今の時代ネットで簡単に調べられるが、調べれば調べるほど、どんどん不安になってくる。
よくわからない方が気楽なのかもしれない。でも、現在の情報を纏める、疑問を整理する、Gunオヤジの場合、ガンに立ち向かうためには必要なことだと思う。
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