気がつくと「象の背中」

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ガン随筆

「象の背中」、最初は何の映画か分からずオープニングを見た時はホラーかと思った。WOWOWで見たのが確か最初だった。
役所広司さんは凄く良い俳優だと思うので見たのだが、この映画に関して事前情報がなかった。

末期の肺ガンが見つかったサラリーマンが残された時間をしっかりと生き抜く話なのだが、評価は賛否両論に別れる。特に女性のウケが悪いらしい。そりゃあそうだろう主人公は幸せな家庭がありながら外に愛人がいて、病院では妻と愛人が鉢合わせするが、妻は一瞬にして事情を察し理解を示す、実に都合の良い話だと思う。

ただ、自分の死期を知りこの世終いのように色々な人に会いにいく主人公の気持ちはよく分かる。

「俺、死にたくない。腹括った振りしてるけど、本当は怖いんだ。でも・・・それを誰にも言えなくてね・・・」何年も音信不通の兄と和解して、一緒にスイカを食べるシーンは何度見ても涙がでる。

Gunオヤジは食道ガンになる5年ほど前に脂肪腫の手術を受けている。摘出した組織を病理検査に回すまで良性か悪性か分からなかった。
その時妻に悪性の可能性もあることは伝えていなかった。良性とわかったあと他の人との会話の中でそのことがバレ、妻にひどく怒られた。
確かに妻の立場で考えたら、申し訳ないことをしたと思う。それ以降病気を隠すことはしないと決めた。

ただその時、Gunオヤジは何度も何度も繰り返しこの「象の背中」を観ていた。あとで考えると心の中で予行演習をしていたようだ。

最近また「象の背中」を観る機会増えた。
また予行演習をしているのかもしれない。

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