苦悩の根源はそこじゃない

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ガン随筆

友人から民間療法の資料が送られてきた。
ガンで苦しんでいるようなので是非試していただきたい、とのこと。

ありがたいが、いちいち試す気にならない。
恐らく胸腺切除手術は成功したとおもう。かなり大きく切除してもらったので再発の危険も低い。今、Gunオヤジが苦しんでいるのは胸腺腫の恐怖というより 人に寿命があることに対しての恐怖。
言い換えれば「終わりがあることに対して」となる。

人は誰でもいつか死ぬ。日本人男性の平均健康寿命は72歳、平均寿命は81歳と理屈では知っていた。
ただそれがどういうことなのか現実感を持っていなかった。

目が見えなくなり、耳鳴りは消えず、運動能力も低下、あまり無茶なスケジュールでの仕事や旅行をする気力が出なくなり・・・加齢とともにできることが減ってきている。
その上、もう2度と昔に戻れない。もう2度とチャンスがこない。
自分に残された時間の短さ。その減っていくスピード。
自分が死んだ後も、人類が死滅しても、地球がなくなっても、自分と関係なく延々と続いていく時間。
・・・その絶望感が苦しみとなっている。

もちろんだからこそ残された時間やチャンスを使い切りたいとも思っているのだが、この矛盾がガンによって見えてしまったのだ。
気持ちはありがたいが、民間療法の守備範囲ではない。

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