東南アジアを旅してきた その6

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ガン随筆

その後の2日間はゆったりと過ごした。
せっかくシーサイドのホテルを取ったのだ、ホテルの施設を使わないのは勿体ない。
午前中は日本から持ってきたブルートゥース・スピーカーと街で買ってきた缶ビールを3,4本もってプールサイドへ行く。ほとんど貸切のシーサイド・プールは気持ちよかった。

思えば5ヶ月前は片肺沈めてガンの手術を受けていた。
大手術を受けた割にピンピンしているが、心の中が穏やかだったわけではない。人生の終わりが視界に入ると、まだ死にたくないと思う。「やりたいことも、もうすぐ何もできなくなるのか」「そんな残念さを感じることもできなくなるのか」という焦燥感だ。これが重くのしかかったままとれない。

結局何も解決しなかったが、シーサイドのプールでぼーっとしていたら悶々とした気持ちが少しだけ溶けたような気がした。ガンの悩み、死の恐怖なんてそうやって慣れていくしかないのかもしれない。
きっとこの先もまたガンの手術を受けてはうろたえるだろう。格好悪いけどそれが普通ではないだろうか。

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