あんたは次男坊なんだから我慢しなさい

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ガン随筆

子供の頃から兄との仲がよくなかった。毎日のように嫌がらせをされ反発して喧嘩になった。
しかし幼少期における1年半の年齢差は大きい。いつも泣かされた。

そして父親からは「世界にたった1人の兄弟なんだから仲良くしなさい」と怒られた。それは兄に言うべきだろうと思っていた。
母親からは「あんたは次男坊だから我慢しなさい」と言われた。こっちが被害者なのにとなんか釈然としなかった。

今や既に超高齢者となった両親、いなくなってから火種を残さないよう遺産相続について意思を書いておいてくれと言ったら、母親は全額兄に譲ると言った。父親も同様の意思だと言う。
「お父さんの時だって長兄が遺産を全部もらって、兄弟は判子をついたんだから」と言うが、数十年前の田舎の話を持ち出して比較されても困る。兄は結婚もしてないし、子供もいない。30代で早々とリストラされてからアルバイトで食い繋ぎ還暦近くになった今でも実家で親の脛を齧っている。

別にお金に困っているわけではないが、今時兄弟の権利は公平だし、遺留分というものがある。あまりの差の付け方におかしいと言ったら、「あんたは次男坊なんだから」と言われた。

次男坊はスペアだと考えているようだ。手厚く支援するのは長男、面倒なことや皺寄せは次男坊に。
子供の頃からこの考えで育てているのではと思ったら様々な不公平に合点がいった。
母親が繰り返し言ってきた言葉が「あんたは次男坊だから(理不尽だろうが、不公平だろうが)我慢しなさい」との意味だったことが分かる。

産んでもらえたこと、大学まで行かせてもらえたことには感謝している。
ただ、自分の親からあからさまに差別され、死ぬまで差別されるのかと思うと、少し寂しい気もする。
56歳の今でも親との距離感が掴めない。

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