人は小さい

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ガン随筆

私を休職に追い込んだ上司は春に会社を辞めた。
中間管理職を減らすという会社の方針の中で、居場所がなくなったのだろう。

昨年9月に3度目のガン手術をして11月から週3日勤務で復帰したものの、年明けからはフルタイム勤務か休職かを上司に迫られ、結局病気休職を選択した。

Gunオヤジの会社は理由に関わらず週4日ないし3日勤務が認められる制度になってから1年以上が経つ。当然給料も4/5とか3/5になるのだが、人にはそれぞれ事情がある。Gunオヤジも体調の観点から週3日勤務からの復帰にした。

が、年明けからは週3日希望は認めないと言われた。会社のルールとして改定され問題ないはずだと主張したが、Gunオヤジも人事だが当然上司も人事の人間なので、会社ルールの細かいところで自分の主張を「人事の公式見解」だと押し通してきた。
上司の真意は簡単だ。外資系企業なので他の国の同部門と比較評価されるのだ。するとヘッドカウント分のアウトプットということで週3日勤務の部下がいると不利になる。はっきり言って自分の評価のためだ。

事情を知った産業医も怒って抗議してくれると言ってくれた。個人的に事情を知っている同僚も抗議してくれると言ってくれた。だけどGunオヤジは断った。
自力呼吸を止めて手術したのはほんの2月前のことだ。オンラインで仕事復帰したのも3週間前というタイミング。毎晩睡眠導入剤を飲み、たまにパニック発作を起こし、産業医からも適応障害を起こしていると言われていた。週3日勤務だって相当な挑戦だった。
そんな中でこんな馬鹿げた交渉をすること自体が大きな負担だったのだ。

上司は中途転職者だった。社労士の資格を持っていて人事のプロとして転職してきた。なのでGunオヤジの会社の健保組合の制度が充実していることもGunオヤジ以上に知っていた。
週3日勤務の場合、手当無し、給料は60%になる。しかも仕事のプレッシャーは変わらない。
一方の病気休職となると手当無し、給料は75%補償が18ヶ月続く。しかも社会保障費は会社が全額負担。
その条件をチラつかされGunオヤジは傷病休職を選んだ。
負けた感は正直ある。でも人生の残りの時間を消化試合にしないための一つの転機になるのではとも思えた。

3月から休職に入ったのであと12ヶ月で手当も出なくなる。その先のことは分からない、会社に戻らないかもしれない。でも後悔はしていない。

だた、必死で頑張っている病み上がりの部下に「今、どんなご気分ですか」「その体調で今の激務が務まるとお思いですか」と休職を迫った上司は小さい人だと思う。
もっともそれが普通なのかもしれない。

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