お茶の水のクロサワ・ウインド

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ガン随筆

東大病院でガンの手術をして以来、その後も東大病院で定期検査してもらっている。東大病院なら検査機械も充実していて安心だというのもある。

ただ検査そのものは辛かったりして、当日は気が沈む。
ある日、検査後にお茶の水のサックスの店に入ってみた。気が晴れるかなと思ったのだ。

実は楽器店に入るのは抵抗がある。Gunオヤジは50年以上、音楽とは無縁の人生を歩んできたからだ。最初のサックスをネットで買った理由の一つは実はこの抵抗感だった。
その日は勇気をだしてクロサワ・ウインドに入ってみた。管楽器を英語でウインド・インスツルメントという。黒澤楽器の管楽器専門店だ。

店員さんに声をかけられたらどうしようと少しソワソワしながら店の中を見て回った。YouTubeでみたユッコ・ミラーのポスターが貼ってあった。ユッコの推薦としてキャノンボールAVR-Lがディスプレイされていた。なかなかいいお値段だ^^;

油断してたら店員さんに話しかけられた。恥ずかしくて目も合わせられなかった。でも気さくに話しかけてくれたこともあり、段々とこちらも心を開くことができた。
病気のことは伝えてないが、50の手習いでその年の頭からサックスに挑戦していることや、ネットで買った格安サックスを使って練習していることを告げた。

その人は嫌な顔一つ見せず、楽器選定のアドバイスをくれた。最後はセルマー、ヤマハ、キャノンボールの吹き比べまでして見せてくれた。そしてネットで見つけたユッコ・ミラーに憧れていることを告げると、憧れのプレーヤーと同じモデルにするのも全然アリだと言ってくれた。
「私みたいな初心者が?」と聞き返してしまったが、「まったく問題ありません」と背中を押してくれた。

それ以来、3ヶ月ごとの定期検査の後は、検査に耐えた自分へのご褒美としてクロサワ・ウインドに立ち寄ることにしている。辛い検査も楽しみがあれば少しは緩和される^^

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