50の手習い、私の場合

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ガン随筆

サックスを初めて1年半になる。最近ようやくにして上達の兆しを実感できるようになり、嬉しい。

初めてサックスを手に入れたのは17年前の2006年8月、38歳の夏だった。音楽など縁の無い人生を送ってきた。実は今までコンサートにもライブにも行ったことがない。ライブハウスに行くことを想像すると自分の居場所が無いようで怖い。
でも、人生の真ん中あたりなので食わず嫌いをせずに音楽の世界に片足ぐらい突っ込んでみるのもアリかと思った。
本気とお試しの中間で、アマゾンで格安サックスを購入してみた。

「最初は好きになることが重要」と教室に通わず我流で吹いていた。適当でもそれなりに音が出るのが楽しかった。やがてドレミファソラシドの運指を覚えた。
でも、それ以上どう進んでよいかもわからず、段々サックス・ケースを開けなくなった。

これではいかん「使用後の手入れは毎度しなくて良い」と自分に言い聞かせて手に取るようにしたのだが、それでも一度興味を失うとあとは下り坂を転げ落ちるように加速し、気がつけばサックスは部屋のディスプレイになっていた。
はっきり言えば、練習したうちに入らない。。。

52歳でガンになり、手術を終えて一息ついたところで、もう一度サックスに挑戦してみたいと思った。54歳で迎えた年末のことだった。

埃をかぶったサックスを引っ張り出し、「一曲だけ一年かけて練習をして吹けるようにする」を目標に決めてみた。楽譜が読めないがこれも開き直った。音階をカタカナでワープロ打ちしたものを作ってみた。

それから1年半、相変わらず譜面は読めないが練習は続いている。まだまだ運指もたどたどしいがカタカナ音階を見ながら数曲吹けるようになった。YouTubeでプロが教えてくれたジャズ・ラインなるものを練習して3ヶ月、少しずつ指が回るようになったのを実感している。
50の手習い、これが私の場合だ。

時間は掛かるだろうが周りの人にこう言っている。
「ガンになり再びサックスを始めた。私は100歳まで生きて違う病気で死ぬことに決めた。その方が私らしいと思うから。あと46年もあるので凄く上手くなってしまうと思う。」

そのくらいのハッタリかましてもいいよね。

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