丸さんという相棒

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少林寺拳法

Gunオヤジは少林寺拳法の修行を40年ほど続けている。
少林寺拳法の修行は組手主体と言って2人1組で行うのが基本で、大会も昇段もペアで挑むのが一般的だ。

Gunオヤジも入門してしばらくした頃には相棒がいた。私が高3の時に彼は中3だったので3つ歳下だった。真面目な性格だったし私とは拳法のスタイルも違ったが、一緒に黒帯を目指さないかと言ったら「はい」と言ってくれてそれ以来ペアを組んでいた。私は彼のことを「丸さん」と呼んでいた。

Gunオヤジが大学1年、丸さんが高校2年の時、道場の先生の事務処理&金銭問題が発覚して我々は初段昇格試験が受けられなくなってしまった。悲しかったし頭にきたけど、横で歯を食いしばって泣いている丸さんがいたのでGunオヤジは慰め役に徹しなくてはならなかった。

周囲の人は「この2人が昇段試験に落ちるなどあり得ない」と見ていたので、「来週からこれを締めろ」と先生から黒帯を渡された。示し合わせたわけではないが2人とも帯に名前を入れなかった。せめてもの抵抗だった。

丸さんは大学で近県に下宿することになった。それを機会に道場へ来なくなった。
やがてエンジニアとして自動車会社に就職した。Gunオヤジは使いやすそうなボールペンを就職祝いにプレゼントした。「使いやすくいつも手帳に差して愛用しています」と後日手紙をもらった。
でも、入社一年目の夏に丸さんは仲間とバイクツーリングに出て事故で逝ってしまった。

丸さんが少林寺拳法をできなくなってしまったので、Gunオヤジはちょっとやそっとのことがあっても少林寺拳法をやめない。彼の分まで少林寺拳法を楽しむと決めた。
そしてそれ以来、Gunオヤジは誰ともペアを組むことはなくなった。

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