少林寺拳法は武道として有名だが、組織をみると実は宗教法人や一般財団法人などの複数の法人からなっている。その中の宗教法人が「金剛禅総本山少林寺」で、全国の道院(町道場)をまとめている。その宗教法人において2代目代表を務められたのが故・浦田武尚先生だ。
仕事は役所勤めだったが、門下生がヤクザと揉めた時は1000人規模の組を相手に一歩も引かず最後はしっかり慰謝料までもぎ取った暴れん坊だ。少林寺拳法南予連合を作られるなど質実剛健だけでなく剛柔一体でもあった。
Gunオヤジは少林寺拳法の中では一般財団法人少林寺拳法連盟に属していて、組織的には直接の接点はなかったのだが、浦田元代表の甥っ子さんがGunオヤジの幼馴染だった偶然があったりしたことが原因か、なにかと可愛がってくださった。
2年前の1月に少林寺拳法グループ全体のトップが3代目に代わる承継式が四国の本部で開催された。Gunオヤジが食道ガンの手術を受けて2ヶ月半ほど経った頃の話だ。
前の晩、全国から支部長達が四国入りするのだが、その時に他からの誘いを断ってGunオヤジ夫婦とサシ飲みしてくれた。
ご自身もガンを患われていた。久々にお会いしたお姿から体調の悪さが伺えた。でも力のこもった目と声でGunオヤジを激励してくれた。
その年の5月10日、浦田元代表は亡くなられた。
もしかしたらGunオヤジと会ってくれたのは最後の帰山の日だったのではないかとも思う。
少なくとも全国から一斉に支部長が本部に集まる最後の機会をGunオヤジを励ますために使ってくださったのは明らかだ。
「少林寺拳法の先生はいつどこから見られているか分からないから、いつもきちんとした身なりをしていなければいけない」と言われていた。武道家として凛としたものを感じる。
同時にGunオヤジを励ますために他のお誘いを全部断って会ってくれるような暖かい心も感じる。
「男振りがいい」とはあのような人のことだと思う。
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